小林 雄太
留学先:仙台厚生病院 循環器内科
北海道大学循環病態内科学教室の医局員と同門会の先生方にはいつも大変お世話になっております。私は2023年4月から、仙台厚生病院の循環器内科で国内留学をしております。
現在、当院の循環器内科では28人の常勤医が、PCIチーム、EVTチーム、心不全・エコーチーム、SHDチーム、不整脈チームに分かれて診療しています。院内にはカテーテル室が5つとハイブリット室が1つあります。主にEVTでは1列、ABLでは2列、CAG・PCIでは1〜2列を使用し、ハイブリッド室とカテ室の1つではSHDインターベンションを並列で行っています。外勤や後期研修医の関連病院研修もあるので、概ね20人強が院内にいますが、その中で4-5人は外来、数人が日中で10件ほど搬送される救急車対応も行っており、人手は慢性的に不足しているのが実情です。手技件数としてはPCI件数が年に1000件程度、TAVIが300件程度、経皮的僧帽弁クリップ術(Mitra clip)が60-80件程度、カテーテル的左心耳閉鎖術が50件程度、ABLが700件程度、EVTが400件程度と非常に豊富な件数の診療を行っております。仙台は北海道以上に医療が集約化されており、心疾患は仙台厚生病院に紹介をするという意識が地域に根付いており、毎日40人程度の新来患者の紹介があることが、この豊富な件数の理由と考えられます。例えばPCIでは年間500件程度がACSに対してのPCIであり、毎日1−2件はSTEMIが搬送されるという、北海道ではなかなか考えられない状況でした。このような医療の集約化は適切な医療提供に貢献し、北海道の医療にも参考になると思います。勤務している医師は自分の症例のPCIは自身で行いながらそれぞれのサブスペシャリティの診療を行う形をとっており、私はSHDチームに配属されておりますが、SHD手技の合間を見てPCIなどを行っております。
留学後からTAVIやMitra Clipの経験させていただいておりますが、緊急でのECMO下TAVIやTAVI弁機能不全に対するTAV in TAV、さらにはHOCMに対してのPTSMA、左心耳閉鎖術、奇異性脳塞栓症の原因となるPFO閉鎖術など様々な症例の執刀を経験させていただきました。これらの症例を一人で完全に管理するにはまだ至っていませんが、多くの経験を積み自己の能力を向上させたいと考えています。また、当院では現在経カテーテル三尖弁置換術の治験も行っており、最先端のデバイスの治療も経験できることも魅力的な点と考えられます。
研究活動も精力的に行っており、複数のメンバーが論文執筆や学会発表などを行っており、私も臨床業務が落ち着いてきたのでTAVIのデータをまとめているところであります。
この度は貴重な留学の機会を与えていただき大変感謝しております。この場をお借りしまして、安斉教授、永井准教授をはじめ、北海道大学循環病態内科学教室の先生方、同門会の先生方に深く感謝を申し上げます。