安井 悠太郎
留学先:東京大学 最先端臨床研究センター
北海道大学循環病態内科学教室の先生方、同門会の先生方、平素より大変お世話になっております。92期の安井悠太郎です。2023年6月から東京大学の最先端臨床研究センターで研究に従事しております。
私は2021年度に北海道大学大学院に入学し、現在は博士課程3年目になります。大学院在学中の留学はあまり例がないと思いますが、博士学生は、大学が教育上有益と認めた場合に他大学の大学院等で必要な研究指導を受ける「研究指導委託」という制度を利用する事ができます。双方の大学で同意が得られれば利用する事ができ、大学院を卒業するために必要な単位を取得し、中間審査及び学位審査に参加さえすれば、それ以外の期間は他大学で研究指導を受ける事ができます。従いまして私は現在北海道大学大学院に籍を残したまま、東京大学には特別研究学生という身分で在籍しております。
今回私がこのような機会を頂きましたのは、東京大学と北海道大学で心臓サルコイドーシスの合同研究を行う方針となった事が契機となっています。現在私が所属している東京大学の研究室では早くから心臓組織検体のシングルセル解析技術を確立し、それ以降も心臓組織検体から詳細な分子プロファイリングを可能にするシングルセル分子病理解析技術を世界に先駆けて構築してきました。一方で北海道大学は心筋生検施行例を全例登録しデータベース作成を進めており、病理部に提出する光顕・電顕検体に加えて新鮮凍結検体も全例で保管しており、解析対象となる検体を多く保管しております。
留学開始から半年程経過し、これまでに免疫染色などの基本的な実験手技の確立、また解析パネルの作成や解析環境の整備を行って参りました。本格的な解析は2024年から始める事ができそうであり、北海道大学の心臓サルコイドーシス組織診断陽性となったFFPEサンプルを用いてシングルセル分子病理解析による心臓サルコイドーシスの病態解明に尽力したいと考えております。
この度は貴重な機会を頂きありがとうございます。この場をお借りして、安斉教授、永井准教授を始め、北海道大学循環病態内科学教室の先生方、同門会の先生方に深く感謝を申し上げます。