高度僧帽弁閉鎖不全症へのクリップ技術を用いたカテーテル治療
カテーテルの先端につけたクリップを用いて僧帽弁の逆流を抑制して心不全症状を改善する治療方法で、手術困難な患者さんに対しても治療が可能となります。
経皮的僧帽弁接合不全修復術
Percutaneous mitral valve mal-coaptation repairカテーテルの先端につけたクリップを用いて僧帽弁の逆流を抑制して心不全症状を改善する治療方法で、手術困難な患者さんに対しても治療が可能となります。
「僧帽弁閉鎖不全症(僧房弁逆流症)」とは、この僧帽弁の閉鎖機能が悪くなり、本来の血液の流れとは逆に、左心室から左心房に血液が逆流してしまう状態を指します。(図2)
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図1 僧帽弁
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図2 僧帽弁閉鎖不全
前者では弁の逸脱(左心房側に弁が飛び出してしまう状態)、腱索の断裂、リウマチ熱などが主な原因となります。後者では、心筋梗塞や心筋症などが原因となります。
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図3 僧帽弁閉鎖不全症の種類
『経皮的僧帽弁接合不全修復術』とは、カテーテルを用いて足の静脈から直接心臓に到達し、『クリップ』で僧帽弁の前尖と後尖をつかんで引き合わせることにより逆流量の減少、心不全症状を改善する治療です(図4)。開胸する従来の心臓手術よりも体にかかる負担が少ないため、年齢や併存疾患などのために、これまで手術を断念されていた患者さんに対しても治療が可能となります。2003年に欧州で始まり、欧米を中心に6万人以上の治療実績があります。日本でも2018年4月に保険収載され実際の治療が開始となりました。日本循環器学会などの関連学会が定めた厳しい基準を満たした認定施設のみで治療が行われます。
治療は全身麻酔下で、経食道心臓エコー検査で心臓内部を観察しながら実施します。治療の適応や実施に関しては、循環器内科医(カテーテル治療専門医・心エコー専門医など)、循環器外科医、麻酔科医を含むチーム(ハートチーム)で検討し決定します。
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図4 経皮的僧帽弁接合不全修復術
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図4 経皮的僧帽弁接合不全修復術
また、当院は北海道唯一の心臓移植実施施設となります。そのため、かねてより重症の心不全患者さんの治療経験が豊富で、循環器外科をはじめとするハートチームで治療を担ってまいりました。近年では経皮的大動脈弁留置術など心臓構造疾患に対する治療も積極的に実施しており、麻酔科やリハビリテーションなど関係部門とも協力し、患者さんへ最適な治療を提供できる体制が整っております。
ハートチーム
循環器内科医(カテーテル治療専門医・心エコー専門医、心不全専門医など)、循環器外科医、麻酔科医、看護師、放射線技師や臨床工学士を含むチーム(ハートチーム)で協力し、患者さんにとって最適な治療を行います。
問い合わせ先 :
北海道大学病院 循環器内科
ハートチーム直通メールアドレス