北海道大学 大学院医学研究院 内科系部門 内科学分野 循環病態内科学教室

入局案内・専門研修

Admission/Professional Training Information

診療科の概要

循環器内科は、虚血性心疾患・心不全・不整脈などの循環器疾患を有する患者さんの診療を担当する診療科です。ライフスタイルの変化にともなって高血圧・糖尿病・脂質異常症などを有する患者さんが増加し、感染症や癌などに対する治療の進歩や人口の高齢化も加わって、循環器疾患を有する患者さんは増加の一途をたどっています。循環器内科専門医のニーズは年を追うごとに高まっており、循環器内科は21世紀型高齢社会の医療において中心的役割を担う診療科の一つです。さらに、近年では遺伝子検査や個別化医療の進歩により、患者の様々なリスクを評価し、個々の患者に最適な治療プランを立案することが可能になってきております。最新の医療技術と総合的評価に基づいた治療やケアを提供し、患者の健康と生活の質の向上に努めています。

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研修内容と特徴

2018年度より新専門医制度が開始されました。当科では初期臨床研修(2年間)修了後、3年目より内科専攻医として、当科の関連教育研修施設で3年間、大学病院で1年間の研修を行う『サブスペシャリティ (サブスぺ) 重点研修Aコース』を採用しております。

3年間のサブスペ専門研修期間中は、高血圧などの生活習慣病を含むすべての循環器疾患に対応できる、”General Cardiologist”を目指した研修を受けていただき、経験豊富な指導医のもと、循環器疾患のみならず広く内科系疾患の診断・治療を学ぶことができます。また、心臓エコー検査やカテーテル検査はもちろんのこと、ペースメーカー植込み術、冠動脈インターベンションや不整脈アブレーション治療など専門性の高い技術を習得することができます。また、当院は道内唯一の心臓移植実施施設であり、重症心不全治療の拠点病院として、道内はもとより国内の中心的な役割を果たしております。大学病院における研修で、左室補助装置や心臓移植を含む重症心不全から緩和医療まで体系的に学ぶことが出来ます。

一方、研修に必要な症例が不足している場合は、内科専門研修として、一時的に他科でも研修を受けることが可能であり、楽しく充実した研修生活を送ることができるように、個々のニーズに応じて医局が全面的にバックアップいたします。さらに研修終了後も、内科専門医のみならず循環器専門医を取得できるようにサポートいたします。

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当科では、「ライフワークの創造を支援し、アカデミックかつ良心ある循環器内科医を育てる」という目標を達成すべく、若い教室員を中心に日々切磋琢磨しています。大学院 (博士課程) への進学を積極的に推奨しています。一般的なコースとしては、6年目に大学病院へ戻り、病棟で1年間勤務した後(大学院1年目)、各自が希望する臨床班および研究グループに所属(複数所属も可能)し、3年間基礎的あるいは臨床的研究にじっくりと取り組むことができます(大学院2-4年目)。なお、大学院1年目より研究に慣れ親しんでいただけるように、病棟診療のみならず、様々な研究分野を体験し、臨床研究を中心に症例報告など論文の作成方法を学んでいきます。また、若手医師には、国内・海外留学を積極的に推奨しており、教員が自身の留学経験をもとに、留学施設の選択や海外留学助成金の取得方法など手厚いサポートを行っております。

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大学では現在、心不全、虚血性心疾患、構造的心疾患、不整脈の分野における研究を4つの柱とし、最先端の研究が行われています。日々の臨床で遭遇する疑問や課題を病態生理まで掘り下げ、基礎研究と臨床研究の両面から病態基盤の解明に挑むフィジシャン・サイエンティストの育成を教室の目標に掲げて研究活動に邁進しております。具体的には、大学病院で推進する高度先進医療(心臓血管カテーテル治療、不整脈デバイス治療)を日々実践しながら、対象となる幅広い循環器疾患を心エコー・心臓CT/MRI・核医学・運動負荷検査などの最新鋭の画像診断装置・生理解析機器にて多角的に診断・評価します。そこで得られた新たな臨床知見を、最先端の分子生物学的手法を駆使して分子・遺伝子レベルまで詳細に検討し、新規診断法や治療法の確立を実現させます。

さらに、道内関連病院との多施設共同研究によって北海道独自の大規模臨床疫学データベースを構築し、臨床・画像・保存検体を用いた網羅的遺伝子・蛋白解析に加えて、歩行動画に対する深層学習の結果を含めネットワーク統合解析を行っております。今後の循環器疾患における精密医療(プレシジョン・メディシン)の基盤となることが期待されております。

様々な研究課題に対して、経験、知識の豊富な教官が懇切丁寧に指導しております。リサーチカンファレンスでは、大学院生自らが取り組んでいる研究について発表し、教員のみならず大学院生も含めた活発な議論を行っております。また、大学院生が中心となって研究技法や統計解析について深く議論する「Strategic Research Meeting」を毎週行うなど、質の高い研究環境が整っております。

また、臨床面では心臓カテーテル(虚血性心疾患、構造学的心疾患)・重症心不全・心エコーなど各臨床班が活動しておりますが、複数の臨床班でシームレスに参加することが出来ます。研究と平行して循環器内科の中のサブスペシャリティを習得することもできます。道内で唯一の心臓移植実施施設として、重症心不全の治療にも力を入れており、心臓移植適応の検討や申請、補助人工心臓 (VAD) 植込み術後や心臓移植後のケア、さらには緩和ケアにも関わることができます。

大学院卒業後は、本人の希望に応じて、大学での臨床・研究、関連病院での研修、留学などライフプランにあった進路を選択できます。将来の目標・夢を実現するためのお手伝いをさせていただきます。

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女性医師就業支援に対する取り組み

循環器内科は、急性冠症候群に対する緊急冠動脈インターベンションなどを行っていることから、一般に循環器内科は勤務状況が過酷ないわゆる「3K職場」とみなされがちで、女性医師の方々にとっては選択を躊躇される診療科のひとつではないかと思われます。

しかしながら、新卒医師における女性の割合は増加の一途であり、これからの循環器医療、ひいてはわが国の今後の医療の発展を考えると女性医師の参画は不可欠です。したがって、私たち循環器内科医は女性医師にとって働きやすく、ひとりひとりの潜在能力を発揮できる職場環境を整えることを極めて重要なミッションととらえています。

当科での病棟診療は複数の医師によるグループ診療制を基本としております。家庭の事情などによる急な欠勤の場合でもバックアップ体制が整っており、診療に影響することなく円滑に対応しています。また、臨床検討会など各種カンファは平日勤務時間帯で開催することとし、家庭と仕事の両立ができるよう配慮しています。さらに、これまでにも多くの女性医師が産休・育休を活用しており、出産・子育てに専念できる環境を提供するとともに、休暇中のブランクを感じることなく、安心して仕事に復帰できるように全面的にサポートしています。

医療は今後ますます多様化してゆくと思います。そのような中で、女性医師が男性医師とともに活躍できる様、さまざまな面で積極的に女性医師就業支援活動を広げてゆきたいと考えています。

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取得できるおもな専門医・認定医

  • ・循環器専門医 (日本循環器学会)
  • ・内科専門医 (日本内科学会)
  • ・総合内科専門医 (日本内科学会)
  • ・心血管カテーテル治療専門医・認定医 (日本心血管インターベンション治療学会)
  • ・超音波専門医・指導医 (日本超音波医学会)
  • ・高血圧専門医 (日本高血圧学会)
  • ・不整脈専門医 (日本不整脈心電学会)
  • ・心臓リハビリテーション指導士・認定医 (日本心臓リハビリテーション学会)