大学では現在、心不全、虚血性心疾患、構造的心疾患、不整脈の分野における研究を4つの柱とし、最先端の研究が行われています。日々の臨床で遭遇する疑問や課題を病態生理まで掘り下げ、基礎研究と臨床研究の両面から病態基盤の解明に挑むフィジシャン・サイエンティストの育成を教室の目標に掲げて研究活動に邁進しております。具体的には、大学病院で推進する高度先進医療(心臓血管カテーテル治療、不整脈デバイス治療)を日々実践しながら、対象となる幅広い循環器疾患を心エコー・心臓CT/MRI・核医学・運動負荷検査などの最新鋭の画像診断装置・生理解析機器にて多角的に診断・評価します。そこで得られた新たな臨床知見を、最先端の分子生物学的手法を駆使して分子・遺伝子レベルまで詳細に検討し、新規診断法や治療法の確立を実現させます。
さらに、道内関連病院との多施設共同研究によって北海道独自の大規模臨床疫学データベースを構築し、臨床・画像・保存検体を用いた網羅的遺伝子・蛋白解析に加えて、歩行動画に対する深層学習の結果を含めネットワーク統合解析を行っております。今後の循環器疾患における精密医療(プレシジョン・メディシン)の基盤となることが期待されております。
様々な研究課題に対して、経験、知識の豊富な教官が懇切丁寧に指導しております。リサーチカンファレンスでは、大学院生自らが取り組んでいる研究について発表し、教員のみならず大学院生も含めた活発な議論を行っております。また、大学院生が中心となって研究技法や統計解析について深く議論する「Strategic Research Meeting」を毎週行うなど、質の高い研究環境が整っております。
また、臨床面では心臓カテーテル(虚血性心疾患、構造学的心疾患)・重症心不全・心エコーなど各臨床班が活動しておりますが、複数の臨床班でシームレスに参加することが出来ます。研究と平行して循環器内科の中のサブスペシャリティを習得することもできます。道内で唯一の心臓移植実施施設として、重症心不全の治療にも力を入れており、心臓移植適応の検討や申請、補助人工心臓 (VAD) 植込み術後や心臓移植後のケア、さらには緩和ケアにも関わることができます。
大学院卒業後は、本人の希望に応じて、大学での臨床・研究、関連病院での研修、留学などライフプランにあった進路を選択できます。将来の目標・夢を実現するためのお手伝いをさせていただきます。