Department of Cardiovascular Medicine

不整脈研究グループ

不整脈研究グループ

スタッフ

研究内容

動物実験の研究テーマ「不整脈発生機序の解明」

不整脈発生機序の解明をテーマとし、光学マッピングを用いた心臓レベル、パッチクランプを用いた細胞レベル、カルシウムイメージングによって電気生理現象を解析しています(図)。我々のグループでは、Ca2+感受性Small-conductance K+電流(SK電流)に着目し、肥大心では心筋虚血、交感神経活性化によってSK電流が活性化されやすく、心室不整脈の発生に関与していることを報告しています1-4。これまでの研究をもとに、現在、心房リモデリングにおけるSK電流の関連性について研究を進めています。

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また、新たなテーマとして、下記の研究に取り組んでいます。

ミトコンドリア・カルシウム取り込み能と後脱分極との関連性について検討

不全心ではカルシウム漏出の結果、後脱分極によるトリガードアクティビティが亢進しており、心室不整脈の発生機序の一つと考えられています。我々のグループでは、ミトコンドリアカルシウムユニポーター(MCU)に着目し、MCUを介したカルシウム取り込みを促進することで不整脈の誘発性が低下することを明らかにしました(2020年欧州心臓病学会、米国心臓病学会にて発表)。

光遺伝学を用いた心臓電気生理の解析

光遺伝学は、光刺激によって細胞の電気生理現象を制御する新しい技術です。現在、プルキンエ‐心筋伝導遅延と心室細動の関連性、心房細動停止治療への応用へ向けた検討を行っています。

糖尿病心における不整脈の発生、持続に関わる機序の解明

糖尿病患者さんの数は増加傾向にあり、糖尿病による不整脈の発生リスクを低下させ、再発予防を行う重要性が高くなってきています。心室不整脈におけるカルシウム動態の影響や心房細動リモデリングにおけるミトコンドリア機能に着目して研究を進めています。

臨床研究の研究テーマ

植え込みデバイス患者における心室性不整脈と心不全との関連性の検討

当科では、1990年代の治験段階から、植え込み型除細動器(ICD)の植え込みを行ってきました。ICDは心臓突然死の予防治療として有効である一方で、不適切作動やショックによる予後への悪影響の問題が指摘されています。我々は、これまでに不適切作動が起こりやすい患者背景や5、累積ショックエネルギーと生命予後との関係性6、ICD適切作動前の非持続性心室頻拍の出現増加などを報告してきました7。近年、植え込みデバイス患者さんにおける新たな問題として、心房細動やエレクトリカルストームの管理が指摘されており、臨床に役立つ新たな知見を見出すことを目標としています。

心電図波形による予後予測の検討

心電図は古典的な診断ツールですが、詳細な波形解析を行うことで不整脈の再発や死亡率の予測に役立つことが報告されています。当科で治療を受けた患者さんの心電図を前向き、後ろ向きに解析し、新たな知見を見出すことを目標にしています。

 

主な原著論文

  1. Takahashi M, Yokoshiki H, Mitsuyama H, Watanabe M, Temma T, Kamada R, Hagiwara H, Takahashi Y and Anzai T. SK channel blockade prevents hypoxia-induced ventricular arrhythmias through inhibition of Ca(2+)/voltage uncoupling in hypertrophied hearts. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2021.
  2. Lee WC, Watanabe M, Yokoshiki H, Temma T, Kamada R, Takahashi M, Hagiwara H, Takahashi Y and Anzai T. Rapid-rate nonsustained ventricular tachycardias in high-risk dilated cardiomyopathy patients. Pacing Clin Electrophysiol. 2020;43:1086-1095.
  3. Kamada R, Yokoshiki H, Mitsuyama H, Watanabe M, Mizukami K, Tenma T, Takahashi M, Takada S and Anzai T. Arrhythmogenic beta-adrenergic signaling in cardiac hypertrophy: The role of small-conductance calcium-activated potassium channels via activation of CaMKII. European journal of pharmacology. 2019;844:110-117.
  4. Tenma T, Mitsuyama H, Watanabe M, Kakutani N, Otsuka Y, Mizukami K, Kamada R, Takahashi M, Takada S, Sabe H, Tsutsui H and Yokoshiki H. Small-conductance Ca(2+)-activated K(+) channel activation deteriorates hypoxic ventricular arrhythmias via CaMKII in cardiac hypertrophy. American journal of physiology Heart and circulatory physiology. 2018;315:H262-H272.
  5. Tenma T, Yokoshiki H, Mitsuyama H, Watanabe M, Mizukami K, Kamada R, Takahashi M, Sasaki R, Maeno M, Okamoto K, Chiba Y and Anzai T. Relation between total shock energy and mortality in patients with implantable cardioverter-defibrillator. International journal of cardiology. 2018;259:94-99.
  6. Mizukami K, Yokoshiki H, Mitsuyama H, Watanabe M, Tenma T, Takada S and Tsutsui H. Small-conductance Ca2+-activated K+ current is upregulated via the phosphorylation of CaMKII in cardiac hypertrophy from spontaneously hypertensive rats. American journal of physiology Heart and circulatory physiology. 2015;309:H1066-74.
  7. Mizukami K, Yokoshiki H, Mitsuyama H, Watanabe M, Tenma T, Matsui Y and Tsutsui H. Predictors of high defibrillation threshold in patients with implantable cardioverter-defibillator using a transvenous dual-coil lead. Circulation journal : official journal of the Japanese Circulation Society. 2015;79:77-84.