Department of Cardiovascular Medicine

構造的心疾患・虚血研究グループ

構造的心疾患・虚血研究グループ

スタッフ

研究内容

虚血研究

当院では年間約400例の心臓カテーテル検査と約170例の経皮的冠動脈インターベンションを施行しています。救急救命センターと密接に連携し、急性心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群の診断や治療を行う体制も整えています。虚血性心疾患の病態解明・予後予測に関する臨床研究にも積極的に取り組んでおり、OCTや近赤外線分光法を用いた血管内超音波 (near infrared spectroscopy-IVUS: NIRS-IVUS) を使用した動脈硬化性病変の不安定性の評価、予後解析を行っています。また、3次救急病院における急性冠症候群症例が豊富である当院の特徴を生かした研究を行っております。札幌市の急性冠症候群 (acute coronary syndrome: ACS) ネットワークとも連携を行い、循環器救急診療に有益な情報を発信しています。

#01

光干渉断層撮影によるプラーク解析

低信号領域で示される脂質コア (Lipid core; LC) の表面に、線状の高輝度領域を示すマクロファージ集積を認め(A, 矢頭)、プラーク内新生血管(B, 矢印)が示されている。これらは、不安定プラークの特徴の一つとされている。

構造的心疾患研究

大動脈弁狭窄症(AS)に対する経皮的大動脈弁留置術(TAVI)は、外科手術リスクが高い患者の低侵襲治療としての地位を確立しており、より低リスク患者へとその適応が拡大していっております。また、2018年12月に当院が道内初症例を成功した僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip治療)も心不全患者さんの症状・予後改善のための治療として広まってきております。また、更には非弁膜症性心房細動における塞栓症予防治療「Watchmanによる左心耳永久閉鎖術」が保険診療開始になり、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)に対する心房間シャントデバイスの治験が始まるなど、構造的心疾患(SHD)の低侵襲インターベンション治療の重要性が増して来ております。我々はこのようなSHDの病態解明、治療成績向上に寄与することを目標にSHD研究プロジェクトを進めてきております。

TAVI関連研究

予後不良な疾患であるASに対する新規治療オプションのTAVIは、治療の普及に伴い手技が標準化され、人工弁やデバイスの改良に伴い急性期合併症の発生率は低下してきていますが、その一方で、TAVI施行にもかかわらず、心不全による再入院や死亡を来たす例、また、弁血栓症による人工弁の急速な劣化や術後圧較差増大を来す症例が存在し、それら有害事象の予測因子解明、早期治療介入はTAVIの残された課題としてあげられます。心臓超音波検査などによる人工弁関連合併症予測の診断能は十分ではなく、既存の検査では評価困難な人工弁留置前後の特異的な血流動態が影響しているのではないかと考えております。
近年、Time-Resolved Three-Dimensional Phase-Contrast MRI(4D-Flow)により血流速度、血流の方向性やエネルギー損失など血流動態指標が評価可能であることが報告されており、4D-Flowで得られる情報と人工弁関連合併症の関連を明らかにすることにより、AS治療の成績の改善に寄与できると考え、積極的に研究を行っております。最近我々は4D-MRIによりTAVI前後の観察を行い、ASにより障害された上行大動脈の血流パターンやエネルギー損失はTAVIにより改善するが、壁応力などはTAVI後も健常例より高値を示すことを世界で初めて報告しました(J Cardiovasc Magn Reason 2021)。今後は、長期観察によりTAVI後のいかなる血流動態が人工弁関連合併症と関連があるかを明らかにしていく予定です。

#02

また,一般的に治療対象が開胸手術ハイリスクの比較的高齢者になることを鑑みますと、費用対効果や適応症例選択に関する妥当性の検証も今後重要になってきます。当科教授の安斉は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、全国多施設でTAVIの費用対効果を検証する研究も推進してきました(TOPDEAL研究)。

運動負荷カテーテルを用いたSHD研究

運動時には、骨格筋などの末梢組織の酸素需要に応えるため心拍出量を増加させる必要があります。心臓は、安静時の数倍の血液を拍出する予備能を有していますが、心拍出量の増加は、弁を通過する血流を増加させ、心臓の負荷状態を変化させます。また、運動に伴う頻脈や血圧上昇により、弁逆流や心筋酸素消費量の増大を招きます。これらより安静時のみならず、運動時の心機能を評価することが非常に重要と報告されています。しかしながら、TAVIやMitraClip治療などSHD治療における運動負荷検査の意義については不明な点が多く、SHD治療における運動負荷検査の評価を行うことにより、適切な治療介入の時期、患者選択や治療後の有害事象や予後の推定を行い、SHD治療の成績の改善に寄与できると考え、積極的に研究を行っております。以前より当教室では、心エコーによる運動時血行動態の変化を評価してきましたが、それに加え臥位エルゴメーターによる運動負荷時の血行動態変化をカテーテル検査にてリアルタイムに評価を施行することで新しい知見が得られるものと考えております。

#03

運動負荷カテーテル検査

臥位エルゴメーター(*:Lobe社製 Angio V2Ⓡ)を用いた運動負荷検査を行っている。内頚静脈から挿入したスワンガンズカテーテル(黄色矢頭)により運動負荷時の血行動態変化をリアルタイムに評価できる。

我々の研究グループは虚血・SHD診療、研究を通して患者さんの症状改善、予後改善に貢献出来るよう、努力してまいります。

主な原著論文

  1. Komoriyama H, Kamiya K, Nagai T, Oyama-Manabe N, Tsuneta S, Kobayashi Y, Kato Y, Sarashina Y, Omote K, Konishi T, Sato T, Tsujinaga S, Iwano H, Shingu Y, Wakasa S, Anzai T. Blood flow dynamics with four-dimensional flow cardiovascular magnetic resonance in patients with aortic stenosis before and after transcatheter aortic valve replacement. J Cardiovasc Magn Reson. 2021; 23(1): 81.
  2. Kadosaka T, Kamiya K, Nagai T, Anzai T. Takotsubo Syndrome After Transcatheter Mitral Valve Repair. Circ J 2021; 85(7):1100.
  3. Komoriyama H, Kamiya K, Kobayashi Y, Tsuneta S, Konishi T, Sato T, Iwano H, Nagai T, Wakasa S, Kudo K, Anzai T. 4-Dimensional Flow Cardiovascular Magnetic Resonance Imaging of Changes in Blood Flow Dynamics After Surgery for Discrete Subaortic Stenosis. Circ J. 2021; 85(6): 954.
  4. Sakae Takenaka, Takao Konishi, Tomoya Sato, Atsushi Tada, Takuya Koizumi, Yoshifumi Mizuguchi, Takahide Kadosaka, Ko Motoi, Yuta Kobayashi, Hirokazu Komoriyama, Yoshiya Kato, Miwa Sarashina, Kazunori Omote, Shingo Tsujinaga, Takuma Sato, Rui Kamada, Kiwamu Kamiya, Hiroyuki Iwano, Toshiyuki Nagai, Tatsuya Orimo, Hirofumi Kamachi, Akinobu Taketomi, Toshihisa Anzai. Acute Myocardial Infarction of the Left Main Coronary Artery Presenting with Cardiogenic Shock and Pulmonary Edema during Noncardiac Surgery. Case reports in cardiology. 2021. Online ahead of print.
  5. Takao Konishi, Kohei Saiin, Youji Tamaki, Hiroyuki Natsui, Tomoya Sato, Sakae Takenaka, Atsushi Tada, Yoshifumi Mizuguchi, Yuta Kobayashi, Hirokazu Komoriyama, Yoshiya Kato, Takuma Sato, Rui Kamada, Kiwamu Kamiya, Toshiyuki Nagai, Shinya Tanaka, Toshihisa Anzai. The effectiveness of drug-coated balloons for two dissimilar calcific lesions assessed by near-infrared spectroscopy intravascular ultrasound and optical coherence tomography. Cardiology journal. 2021; 28(5) 794-795.
  6. Kohei Saiin, Takao Konishi, Keita Ninagawa, Toshihisa AnzaiCogan Syndrome with Aortic Regurgitation and Multiple VasculopathyIntern Med. 2021. Online ahead of print.