心臓カテーテル班
Cardiac Catheterization Team診療内容
私たちは、狭心症や急性心筋梗塞などの虚血性心疾患、各種心筋症・心不全の診断・治療や循環器集中治療はもちろんのこと、最先端の医療を患者様に提供するため、カテーテルを使用したさまざまな診断・治療に従事しております。
当院では、最新の治療エビデンス、ガイドラインに準じながら正しい心筋虚血評価を行い、患者様の背景や希望にも配慮した共同意思決定に基づく治療を提供しております。年間約400例の心臓カテーテル検査、約150例の経皮的冠動脈インターベンションや約40件の末梢血管治療を施行しています。高度石灰化プラークなど複雑な冠動脈狭窄に対しても高速回転式経皮経管アテレクトミー(ロータブレータ)、アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル(ダイアモンドバック)や衝撃波血管内砕石術(IVL)カテーテルを用いて高い成功率を達成しています。
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当院は道内唯一の心臓移植実施施設であるため、重症心不全患者様が主に道内各地から数多く来院されます。重症心不全を含む心不全患者様の病因診断・血行動態評価のためカテーテル検査、心筋生検を多数施行しております。右心カテーテル件数は約500件、心筋生検は約180件と道内随一の診療実績となります。心臓移植適応取得から心臓移植までは3~5年以上の待機期間が必要となるため、患者様によっては植込み型人工心臓(左室補助装置:LVAD)装着手術が必要となります。そのような患者様の中には、長期経過の中で右心不全から両心室VADが必要となることがあるため、3~6か月ごとに、右心カテーテル検査により正確に血行動態を評価したうえで、最も適切なVADの調整を行っております。心臓移植後は、良好な状態を維持するためには免疫抑制剤を適切に使用し、拒絶反応を抑制する必要があります。したがって、移植後急性期拒絶反応の評価のために、移植後初回4週間は心内膜心筋生検を毎週行います。さらに、慢性期にはCardiac Allograft Vasculopathy (CAV)といわれる冠動脈の内膜肥厚によるびまん性狭窄を生じることがあり、冠動脈造影、IVUSによる評価を少なくとも1年毎に行っております。右心カテーテル検査に関しましては、通常の検査に加え、左室駆出率の保たれた心不全症例の病因診断・血行動態評価のため臥位エルゴメーターを用いた運動負荷カテーテル検査を積極的に施行しております。また、補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA🄬)も導入し、劇症型心筋炎など重症心不全症例への治療体制を整えております。
また、当院は近年わが国でも可能になった構造的心疾患に対するカテーテル治療も積極的に行っており、高度大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)の認定施設として、2016年からハートチームを設立し、TAVIを開始しました。多くの患者様が治療を受けられ、良好な手術成績が得られております。高度かつ専門的治療が提供できる施設として、TAVI専門施設の認定を受けております。また、2018年12月より僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療(カテーテルの先端につけたクリップを用いて僧帽弁の逆流を抑制して心不全症状を改善する治療方法で、手術困難な患者さんに対しても治療が可能)である経皮的僧帽弁接合不全修復術を道内に先駆けて開始しました。2024年3月時点で累計90例以上の治療実績を有しております。治療の詳細は下記リンクよりご覧ください。
当院は重症心不全診療の拠点大学病院として、今後も最先端の低侵襲治療を積極的に取り入れてゆく方針です。